第1章 監督性は竜胆に触れる。
オンボロ寮に帰ると、時計の針は10時を指していた。
(もう遅いし、この子のことは学園長に明日話そう。)
監督生「おなかすいたよね!今からご飯作るから、楽にしてて!」
『、うん。』
監督生はグリムをベッドに寝かせた後、キッチンの前に立つ。
監督生「昨日のカレーがあったはず、、、」
(時間もないし、カレーは次の日もおいしいし、大丈夫だよね!)
監督生がカレーを温めている間、ベリアルはおとなしくソファーにじっと座っていた。
監督生は、「まるで人形のようだ」と考えていた。
監督生「カレー、できたよ。」
『、、、』
監督生とベリアルは向かい合って机に座る。
監督生「いただきます。」
『、、、いただきます。』
(ベリアル君の口にあうといいけど、、、)
ベリアルはカレーを次々に口に入れて吞み込んでいく。
どうやら口にあったようで、監督生は安堵の声を漏らした。
監督生「よかった、、、」
『、、、』
監督生「、、、」
スプーンと食器が当たる音だけがオンボロ寮に響く。
沈黙の中、ベリアルが言葉を放った。
『あんた、名前は?』
監督生「へ?」
『名前。』
監督生「あ、ユウ。」
『、、、からっぽのユウ。』
監督生「からっぽて、」
『、、、ごちそうさま。おいしかったよ、ユウの作ったカレー。』
監督生「あ、ありがとう。」
ベリアルは笑った。