第3章 嫌な夢
三日月side
思っていたより早く起きてしまい、
縁側で月でも見ようと思い、
襖を開けると、愛おしい主が廊下を歩いていた。
「主、どうしたんだ?」
そう声をかければ、即座に大丈夫という応えが返ってきた。
主は、いつもそうやって無理ばかりをする。
『..三日月...?』
気付けば、身体が動いており、主を抱きしめていた。
無理に作り笑いをし、誰にも心配かけまいと必死になる主。
俺たちには、何も出来ない。ならせめて、抱きしめるだけでも許してくれ。
「なに、気にするな。じじいが抱きしめたいだけだ。」
そう言って、主に嘘をついた。
すまんな。
こんな我儘なじじいを許してくれ。
そっと、背中に廻された優しく小さな腕。
抱きしめ返されたという実感がじわじわと伝わってくる。
主は、俺が...俺達が護らなくてはならない。
あの日より、より一層強く思った。