第16章 薬研藤四郎
薬研side
大将は子供のように...と言っても俺たちからすれば赤子も同然の年齢。
なにかの糸が切れたかのように泣いた。
今は、泣きつかれたかのか、俺の腕の中で眠っている。
俺と身長が全然変わらない、その小さな身体で何を抱え込んでいるのか。
泣いている時は、ひたすら謝っていた。
何に対して謝っているのか、
想像はつかない。
だが、なにかに怯えているようには、見えた。
一体、俺たちに会う前、大将は何を経験したのだろうか。
「主、客だ...て、薬研何故ここに居る」
「ちと、色々あってな。んで、どうしたんだ、長谷部。」
「いや、役人が来たから、呼びに来た。」
「そうか。大将、役人が来たぜ。」
気は引けるが、役人が来たからには、起こさなきゃならない。
「ここの審神者は、何してる。...って、寝てんのか。..!..この腕の包帯どうした。」
急に来たかと思えば、俺たちを睨む役人。