第16章 薬研藤四郎
『...。』
「...。」
薬研が部屋に押しかけてきて、急に傷口を縫われた。
そして、今はこの沈黙。
「...痛くはねぇか。」
私は無言で頷いた。
すぐに始まる沈黙。
元はと言えば、私が悪い。
仕方ないことといえば仕方ない。
だが、まさか押しかけてくるとは思ってはいなかった。
「...なぁ、俺たちはそんなに頼りないか..?俺たちは本来大将であるアンタを護る為に顕現されてきた..。なのに、人の身を持ってもアンタを護れないのは嫌だ...。刀だけの頃とは違う。俺たちを..俺を...もっと信用してくれねぇか...。」
声を震わせ、今にも泣きそうな薬研。
そうだ、どこか少し居心地悪く感じていたのは、これだ。
私は、自分勝手に彼等と線引きをし、
勝手に壁を作っていた。
気付かぬうちに、信用していなかったのだ。
どうせ、皆も"アイツラ"と同じと、
一括りにしてしまっていたのだ。
「!大将!どこか痛いのか?!」
私の目から一雫の水滴が落ちた。