第15章 異様な本丸
和泉守side
離れの掃除当番になった為、
其処へ向かう縁側の廊下を通ると
とある部屋の襖が開いていた。
開けたら閉めるが鉄則のこの本丸で開けっ放しなのは珍しい。
チラッと部屋を見ると、一期一振が突っ立っていた。
「..何してんだ。」
声をかけるとハッとしたように、こっちを向き、
「いえ、何も無いですよ。ちょっと用事があったのですが、薬研が戻って来ないのでこれからお暇(イトマ)しようかと思っていたところです。」
見え見えの嘘をつき、医務室を出ていった一期。
俺は、後ろ姿を見送ることしかできなかった。
この本丸はどこか違う。
顕現した頃から思っていた。
主が主だからか知らないが、
暗黙の掟として、一人一人、特に、主には深入りをしない。
どこか居心地の悪さも感じていた。