第10章 倒れた主
長谷部side
主が目覚めた。
顔はいつもより青白く、
血色が悪かった。
そして、何より怯えている様にも見える。
俺達には、主が何に怯えているのかは、
到底理解できないし、
きっと今後も教えていただけるとは
思えない。
主は、そういうお方だから。
薬研が、主の頭を撫でると、
先程とはうってかわって、
とても嬉しそうな表情をされた。
━━━━━━━俺も触れられれば..。薬研ばかり狡い。
そんな、黒く醜い感情を、
薬研にに抱いてしまっている時点で、
仲間として最悪だ。
だが、この本丸に顕現されている刀たち皆、
主に魅了されている。
『...長谷部..?』
主の声で我に返る。
「!申し訳ございません。どうされましたか..?」
『大丈夫だよ、今日から暫く近侍頼めるかな...?』
俺にとってはまたとない、嬉しい知らせだった。