第10章 倒れた主
薬研side
倒れてから、一刻が過ぎた頃、
大将が目を覚ました。
目覚めてからの脈を測ってみたが、
変わらず正常だった。
だが、脈を測っている時、
何か思い詰めた表情(カオ)をしていた。
「大将、何かあったのか。」
大将は、現世の流行りの病にかかっている。
それは、ここに来た刀剣全振りが知っている、
が、大将は初期刀の切国の旦那と、
今剣しか知らないと思っている。
『いや、ちょっとね。』
へらりと笑う大将。
こうやっていつも気持ちを誤魔化し、
俺たちは何も知らないフリをする。
無言で頭を撫でると、
吃驚しながらも、
でも、どこか嬉しそうに目を細める大将。
この表情(カオ)を一生守らなきゃならねぇ。