第72章 ★ 前夜祭 ★ ロー視点 ★ ② ★
猫は俺に目を向け
さっきと同じ事を聞いてきた
その顔は…少し嬉しそうにも見えるが…
同時に呆れてる顔にも見える
嚇母)“本当にそう思うのかい?”
ロー)「…」
嚇母)“アヤが…本当に思い込みだけで死に急いでいたと?”
ロー)「…何が言いたい?」
嚇母)“僕はずっと見てきた。アヤからずっと契約を持ち掛けられていたけど…あの時の…あっちの世界でのアヤは、死に場所を探してるようにしか見えなかった…いや違うな。生きるとか死ぬとかに興味無かったんだ…あの時のアヤは《生きるのも人のせい》にしてた”
ロー)「…」
嚇母)“本当に子供だったんだ…自分がつらい任務をやって相手が喜ぶから、相手が笑うからなんて考えてて…自分の体なんて使えれば怪我してもいいなんて考えてて…だから僕はアヤが死にたいのかと思った…実際は違ったけど…あっちの世界にも止めてくれる人はいた”
ロー)「…それは、カカシとか言う男か?」
嚇母)“後、クロガネ、かな。会った事はないけど…アヤは2人の言ってる事が理解出来なかったみたいでね、2人が『駄目だ』って言っても聞かなくて…だから死に急いでるのかと思ったんだ…生きるつもりのない奴と契約したって意味が無いからね。カカシ達はそんなアヤを止められなかった…まぁあっちの状況が状況だったんだけど…だからずっと断ってたのに…この世界で、君達と…君と出会ってからアヤは変わった”
ロー)「…」
嚇母)“…アヤがね、『心を貰ったの。暖かい心を…私は彼らの為に…自分の為に…生きる事を望むよ…やっと人になれた気がする』って言って笑ってた”
ロー)「…」
嚇母)“それが嬉しくてね…僕や雲母はずっとアヤに生きて欲しかった…生きる事を望んで欲しかった…ずっと…心配だったんだ…”
ロー)「…」
嚇母)“心配だったから雲母は契約を、冥母はちょっと特殊な例だったけど…僕はアヤが本当に自分で生きる事を望んだ時に契約しようと思ったんだ”
俺は視線を猫から下にいるアヤに向けた
俺が下を向けば猫も視線を下に向けた
下ではクロガネ屋がいて2人で何が話していた
いつの間に戻ってきてたんだ