第64章 ☆ 盗み聞き ☆ ロー視点 ☆ ① ☆
ロー)「あの時は、確か『帰る方法を探すかこの世界で生きて行こうか悩んでる』と言ってたな」
俺の言葉にクロガネ屋が反応した
クロガネ)「悩んでる?そう言ったんか。こいつ」
クロガネ屋は俺に向けていた視線をアヤに落とした
俺はクロガネ屋に顔を向けた
ロー「あぁ。『この世界で生きて行くなら仲間になれ』と言って、初めは考える時間をくれと言われたが⋯修行の話から手合わせになって、報酬の話だ」
クロガネ)「…成程のう…負けて仲間になったからこの世界に残ったと?」
ロー)「俺達に分かるのはそんな感じだ。そもそも帰れるのか?」
クロガネ)「それは知らんが…疑問に思ってのう…アヤがあまりにも…」
そんな話をしていたらシャチが戻ってきた
シャチ)「キャプテン!新しいの見つけて持ってきました!」
そう言ってアヤにゆっくり掛けた
クロガネ)「…ここまで起きんとはな」
クロガネ屋の言葉に全員が首を傾げた
ペボ)「え?アヤってよく寝ないの?」
クロガネ)「…お前達の前ではよく寝るんか?」
シャチ)「おぅ!俺達たまに一緒に甲板で昼寝してるんすよ!」
ロー)「ほぅ」
シャチ)「あ」
ペンギン)「…馬鹿だなお前」
イッカク)「そうだよ。せっかくアヤが隠してたのに」
ロー)「ほぅ」
ペボ)「…イッカクはわざとでしょ」
こいつ…俺が医務室にこもる時
たまに『何してた?』と聞いたら
『甲板で瞑想してた』とは言っていたが
それが昼寝か?
しかも1人じゃなかったと?
クロガネ屋はアヤに向けてた視線を上げて
手すりに背中を預けて一瞬空を見上げて
そして俺達に顔を向けた
その顔は嬉しそうだった
クロガネ)「本当に…感謝してもしきれんな」
それから皆で色んな話をしてしばらくしてお開きになった