第60章 ☆ 甘え ☆ ロー視点 ☆ ① ☆
正直女の髪の毛なんて遠い昔に妹にしたぐらいだった
俺が髪の毛を乾かしている間、アヤは下を向いていた
その顔が気になったが乾かし終わりドライヤーを直せばアヤが抱き着いてきた
ロー)「…アヤ…」
名を呼べば少し力が入った
俺は優しく抱き締め返して背中を撫でた
「ロー」
ロー)「どうした?」
なるべく安心させるように優しく声をかけるがアヤは動かず反応しなかった
「ロー」
何回も呼ばれる名前
ロー)「とりあえずベットに行くか?」
「…」
ロー)「…どうしたんだ?」
「…少しだけ」
俺の問いに小さく答えた
ロー)「…ゆっくりでいい」
アヤをゆっくり離して抱き上げて
ベットに向かい腰を落としアヤを膝の上に座らせ抱きかかえた
アヤは俺の首に腕を回して顔を埋めた
ロー)「どうした?」
アヤの頭を撫でながら声をかければ答えが返ってきた
「…少し、怖くなって」
ロー)「怖い?」
アヤの返答に眉間に皺が寄った
「少しだけ、なんでか分からないけど…怖くなった」
ロー)「…」
「この感覚…誰かが死んだ時みたいだ」
ロー)「…誰かが死んだ?」
「…昔から…たまにだけど…人が死ぬ時って言ったらいいのかな…背筋が凍るような…体が重くなるような…変な感覚になるの…リンの時もあった」
ロー)「…」
「表現が難しいんだけど…あっちの世界でこの感覚は何回も味わった…毎回じゃないんだけど、この感覚の時、よく人が死んでて…誰にも言った事ない…言えなかった…この感覚がなんなのか分からないから」
ロー)「…」
「…あっちの世界では、そこまで気にならなかったのに…こっちに来てから…この感覚初めてで…少し怖くなった…あの戦争でもこんな感覚にならなかったのに」
ロー)「…」