第51章 ☆ 過去〈Ⅱ〉 ☆ ロー視点 ☆ ① ☆
クロガネ)「里では重要な機密として扱われ、この話を知る者は極数人しかおらん」
クロガネ屋の言葉に眉をひそめる
里の重要な機密?
クロガネ屋は顔を上げて俺の目を見た
クロガネ)「アヤは《壬生一族》で間違いない」
ロー)「…それは?」
クロガネ)「壬生一族はまぁ簡単に言えば戦闘に特化した一族じゃ。見返りや報酬なしでは動かん一族じゃがな」
ロー)「…」
クロガネ)「高い戦闘能力を持ち、血を求め人を殺す事に戸惑いや躊躇が無く大人から子供まで関係なく戦場に駆り出され戦う事を望む一族…簡単に言えばそれが壬生一族じゃ。駒として使われ一族は段々と数を減らしていった。アヤが産まれた時には一族の数は20人とおらんかったそうじゃ」
ロー)「…あいつはこっちでは人を殺していない。そう約束したからな」
クロガネ)「それはアヤを見れば分かるわい。じゃからお前さんに話すんじゃよ。よく聞いとくのじゃ」
ロー)「…」
クロガネ)「壬生一族でも珍しい力を持った者が産まれる時があった。それは《先祖返り》と言われアヤはそれだ」
ロー)「先祖返り?」
クロガネ)「先祖返りは壬生一族の中でも希少価値が高いらしい。産まれてその力を手に入れれば戦争なんてあっという間に終わるぐらいの力を持っとると聞いた。暴走すれば殺人衝動が抑えきれなくなり身を滅ぼすまで殺し続けるそうじゃ」
ロー)「…暴走」