第44章 ★ 宴・終 * 夢主視点 ★ ① ★
「…私が…あの時、死なずに里に戻ってたら…何か、変わったのかなって…」
ロー)「…それは」
「分かってる…分かってるの。そんなの考えるだけ無駄だって。でも…せめて、何かしたかったなって」
ロー)「…」
「話を聞いて悔しくて、泣きたいけど泣けなくて、どうしていいか分からなくて」
ロー)「…」
「私、助けたくて忍になったのに、何も助けれなくて…頭がパンクしそうで…」
ロー)「…」
私は膝を抱えて頭を膝に埋めた
「私、何やってるんだろうって…自信無くしちゃった」
ロー)「…」
「私はあなたの忍なのに、あなたを死なせたくないのに…」
ロー)「アヤ」
言葉が遮られ
私の背中から人の体温が無くなったと思ったら
今度は温もりに包まれた
どうやらローは向きを変えて私を抱きしめてくれてるらしい
ロー)「落ち着け。無理に喋らなくていい…俺もお前も大丈夫だ」
「…」
ロー)「俺がお前を死なさないし俺はお前を残して死なない」
「…前に死ぬかもって」
ロー)「こんな状態のお前を残して死なねぇよ」
「…」
ロー)「だから落ち着け。過去を忘れろとは言わない。俺も忘れられないからな」
「…」
ロー)「過去に受けた恩も忘れろとは言わない。俺も同じだから」
「…ローも?」
ロー)「俺は昔、返しきれない恩を受けた。その人に命を救われた…その人は俺のせいで死んだ」
「…」
ロー)「…俺は決着を付ける…あの人の果たせなかった事を成し遂げる為だけに生きてきた…そのつもりだった…アイツらやお前に出会って、考えが少し変わった…俺は死ぬ気はないが、死ぬかもしれない決着を付けなくちゃならない。それにお前を巻き込もうとしていた。俺が生きて帰る場所としてお前の力が必要なんだ…」