第28章 ★ 過去 * 夢主視点 ★ ① ★
「…私ね、拾われて忍になったの。子供の頃どこで何してのか知らないんだ…人攫いに拷問まがいの事をされてる所を助けてもらったんだって。そのショックで記憶が無くなってるって言われた」
ロー)「…そっちの世界にも人攫いがいるのか?」
「らしい。覚えてないんだけど、私はどっかの里の生き残りでそれなりに価値があったって聞いた…眼もそうだって言われた」
ロー)「…」
「…拾われた当時の私は、壊れてるのかって思われるぐらい反応しなかったんだって…笑いもせず、泣きもせず、歩いたり、ご飯食べたり、何をされても声を出したりしなかったんだって…当たり前の事が出来なくて…お人形さんみたいだよね?…当時はそう思ってる人達もいたらしくて…私が覚えてるのは、凄く寒かったって事だけ…」
ロー)「…」
「私を見つけて助けてくれた人達は私を見捨てなくて…毎日のように病院に見舞いに来てくれて…私に…名前と感情と誕生日をくれたの」
ロー)「…名前…」
「…私が初めて貰った名前…《アヤ》だった」