第94章 ☆ タトゥー ☆ ロー視点 ☆ ② ☆
アヤは飽きたのか…本調子じゃないのか
左手が終わる頃には…寝ていた
よく寝れるな…痛いんじゃなかったのか?
少し引いた目でアヤを見ていれば女が口を開いた
いのり)「…ありがとう」
なんの事か分からず女に目を向ければ
女は右肩のタトゥーの準備をしていて
顔はこっちを向いていなかった
今この部屋に寝てるアヤ、俺
そしてタトゥーを入れてる女しかいないから
さっきの言葉は俺にだろう…か
あの般若はどこに行った?
いのり)「…貴方に言ってるの…ありがとうって」
ロー)「…」
今度は俺の顔を見て言ってきた
女の顔は酒場で見た顔と違い生き生きしていた
ロー)「それはなんの感謝だ?」
いのり)「…なんだろう…リアの事、あの祭りでの事…他にも、色々…」
ロー)「それは俺じゃない」
いのり)「…それでも、貴方にも言いたくて…感謝の言葉は嫌い?」
ロー)「俺は海賊だ…海賊はいい事をしない」
いのり)「ふふっ…そっか…貴方の中ではそうでも、感謝の言葉ぐらいは受け取って欲しいな」
ロー)「それならアヤに渡せ…アヤなら受け取る」
いのり)「そう言うと思って、実は用意した」
ロー)「は?」
女はそれだけ言うと俺の返事も聞かずに部屋から出て行った