第89章 ★ 涙 ★ 夢主視点 ★ ① ★
ロー)「…あの祭りで…」
「え?」
ローが話すと思わなくて
思わず頭を上げてローを見上げた
ロー)「あの祭りでお前の中に入ったあの女に言われてだろ。記憶の事」
「…あ、そっか。ロー達も聞いてたんだっけ」
ロー)「…あぁ」
「あの子がどこまで見たのか知らないよ。興味無いもん」
ロー)「…」
「…本当に興味無いの…その男の事も忘れたい…自分の親とか故郷とか、本当に興味無いの」
ロー)「…なんで興味無いんだ?」
「むしろなんで皆興味があるのか分からないんだけど…だって、私にはあるもの。全部ある…親も、故郷も、名前も、家族も、友達も…恋人も…それが今更…昔の私が出しゃばってきても…私には手に負えない。だからいらない。興味無い。困るなら最初からいらない」
ロー)「…お前らしいな」
「…普通は…思い出そうとする物なの?」
ロー)「…さぁな…自分がどう言う人間だったか気になるなら思い出そうとするんじゃないか?」
「…そっか…」
私はローから視線を外して
目の前の海を眺めた