第2章 邂逅編
今日、出来る限りの家事を済ませた両親はすぐに出発するために荷物を玄関に運び出す事に切り替えた。姉妹も遊んでる場合じゃない。
母に手伝ってと声を掛けられたハルカは初めて見るお菓子の紙袋を運ぶことになった。
「重くないからね、持てるかな?」
『……ん、だいじょうぶ』
声を掛けながら母は娘のお泊り用グッズの入った、大きなバッグを玄関にドサ、と母親置いた。
「ここで待っててね、パパ達の様子見てくるから…」
『はぁい』
忙しそうにバタバタと自分たちの用意をするためにリビングの方へと向かう姿を横目に、ハルカは両手で取っ手を持ちガサガサと紙袋を鳴らしながら母が玄関に置いた荷物の隣にそっと立てかけた、五条家への手土産を置く。
昨日ハルカの父から話を聞いた母が急いで買ってきたものらしい…。中身は焼き菓子の詰め合わせが入っている、と聞いていたので泊まっている間にハルカにも分けて貰えるのでは?と淡い期待をしたりして、袋の読めないロゴからガタガタと物音を立てる、その慌ただしい家族達の居るだろう、壁をじっと見てハルカは待っていた。
ハルカを五条家に預ける為に持っていくものはそのニ点と、ハルカが背負っているピンクの可愛らしいキャラクターが印字された、ほぼお菓子ばっかり詰め込まれたリュックサック。ハルカ自身の出掛ける準備は出来上がっており、今は家族三人が祖母の家に向かう準備でばたばたと慌ただしい。
『まだかなー…』
ハルカの母は出発前だと言うのにもたついている夫に「出かけるってのに今更それはいいんじゃない!?」と怒っているようで、玄関で見えないリビングを覗き込もうとしながらハルカは苦笑いを零していた。