第2章 邂逅編
保育園のお昼寝も側で眠る事が多いふたり。今夜は保育園の外、五条家の悟の部屋での初めてのお泊り。特別である気がするが眠いものは仕方ない。ショボショボとした瞳で悟は小さく笑って普段しない事をしても許されるだろう、とハルカに手をのばす。
柔らかくさら……とした髪。自身と同じ香りがする。温かい…。頭を撫でている時に起きないかドキドキしながらも三度、四度と撫でてからハルカの頭部から手を引っ込めた。
「おやすみ、ハルカ」
先に眠りについたとはいえ、起こさないようにもぞもぞと掛け布団を被り直した。いつもよりも側にいる友達を起こさないように片手を伸ばして、天井の照明を落としていく。玩具の多い部屋を照らしていた明かりがやがては真っ暗になっていった。
もう、隣の顔はカーテンから溢れる僅かな光でしかうっすらと分からないけれど、隣から聴こえてくる寝息や沈むベッド、体温は目ではっきりと分からなくても確かに"ハルカがそこに居る"と知らせてくれる。
沈み込めば上がれなさそうなくらいの睡魔の海。いつもよりも良い夢が見られそうな気がする、とハルカの伏せた睫毛を見て悟も自ら暗闇の世界へと入っていく。
深い深い眠りの中、どこか懐かしさを感じる夕焼けを夢の中で見上げながら…──。