第2章 邂逅編
……結局、ハルカが背負う小さなリュックはほぼほぼお菓子でパンパンに膨らんで、彼女が寝た頃に母に「あちらに泊まらせてもらうのにちょっと恥ずかしいかな…」と少しだけ減らされて居たのだけれどそれはハルカも当日を過ぎても気付いていない事なのだけれど。
準備が終わった後のお風呂の後にも薄着でそわそわしているものだから、父親は「別にハルカを捨てるわけじゃないんだから!」と呆れ、笑いながら少しだけ湿った髪を明日は触れないのだからたっぷり撫でる。
お泊り前日の夜、どきどきとしながらハルカはベッドに潜り込んだ。
『(明日がお泊りだったなんて…今夜眠れるのかな…?)』
そう余計な心配をするハルカの頭の中よりも身体は正直で布団を被って数秒。即寝落ちたハルカ。
閉じられた瞼が次に開く時は空に浮かぶのが月が太陽に変わる頃。母親に揺すぶられ眠そうな瞼を開け、なんの夢を見ていたのやら『おつかれ……さまん…さ…あ、ってなに?』と曖昧な夢を引きずり謎の言葉を口にしつつ約束の当日を迎えた彼女。
両親や姉達がわいわいと今の時期の野菜はどんな成長なのかと手伝う農作業についてを話し合う中でハルカだけ心ここにあらず。納豆ご飯を前にぼーっと上の空で、今日から明日に掛けての事を想像していた。絶対に楽しいに違いない。
……そういえば家族と離れひとりで過ごすというのは姉妹でも初めてだったか。姉もまだ、家族を離れひとりで過ごす事はしていない。祖母達の元への泊まりだって、ハルカと一緒だったりして両親から離れた一日を過ごしたりはしていたが…。
そう考えれば少し寂しさと不安が募った。悟と遊ぶのは楽しみだけれどもハルカだってまだまだ子供、家族に甘えたい。家族は大好きだ。友達と遊んで"楽しい"が上回るならばそれで良い、けれども急にしんと静まった時に大好きな家族を思えば帰りたい、家族に会いたいと不安が爆発してしまわないかと余計な心配をしてしまう。
ハルカの朝ごはんの食の進みもやや細く、皆に急かされる中少しだけ朝食を残してしまったハルカ……。