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【呪術廻戦】運命の白い糸【五条悟】

第2章 邂逅編


妹の急な変貌に、視線をなかなか外せない中で落としてしまった絵本を拾おうと、屈んだ体を起こした姉。見ていて面白いものだと絵本を拾うのは止め、絵本は床に散らかしたまま、慌てふためくハルカを見て笑った。
足音を立てながらぐるぐるとリビングを回るハルカを見て声を上げてゲラゲラ笑っていれば、食器を並べたりして妻の手間を少しでも減らそうとする姉妹の父が二人を呼んだ。もうすぐご飯なのだからいつまでも遊んでいられない。

食卓にやってきた元気な姉妹と、汁物を配膳する母。食事を作りながらも子供達の会話は背を向けていたって先程の会話は耳に入っていたものだから、視線を泳がせたりそわそわするハルカを見て母もハルカの姉同様にあはははは!と声を上げて笑う。

『ふ、二人友……笑わないでよ…っ!』

頬を膨らませるハルカや姉の前に、麦入りの白米が盛られた小さめな茶碗がコト、と置かれた。父は炊飯ジャーから釜を「あちち」と独り言を言いながら外し、流しで水を張ってからいそいそと席に戻ってきた。
そんな父を母は笑いを引きずりつつ、椅子に座るまでの動作を見て、皆が揃ったことで全員が手を合わせ、家族四人の揃う食卓で元気な頂きます、の号令が掛けられる。
家族での賑やかな食事。明日の朝、出発前に五条家にハルカを預ける為に、この夕飯後にママと一緒に準備をしようね、と約束をして。

『──…と、これで、よし!』

母親が用意してくれた大人用のバッグと小さなリュックを前にして彼女は腰に手を当てて仁王立ちしていた。
一通り、お泊りの準備を済ませたハルカ。必要なものは全て小さめなリュックサックの中に詰め込まれているとはいえ、家の鍵も無くすだろうからと持たせて貰えない彼女には預けられた後は家に帰りたくとも玄関に入れないという事となる。子供に預けるよりも親に……とは流石にない。仲が良い家同士の付き合いとは言っても、相手の家の鍵を持たせるというのはどうかしてるというもの。
ハルカは明日家族と一緒じゃない事に寂しくならないか?とまだ来ない明日の夜を考えると気が気じゃなかった。ぬいぐるみを持っていくべきか、大好きなジュースをもう一本詰め込むか、お菓子は足りるのか……。
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