第2章 邂逅編
「……あの、ハルカちゃん…うちで預かりましょうか?」
その場の空気を変えるには十分の一言だった。俯いていたハルカも悟も、申し訳ないというハルカの父も一斉に悟の母に視線が行く。
「えっ……ハルカを、です?」
「はい。明日から明後日に掛けて。お祖母様の元に、みたらいさんち全員って強制じゃなければですけど…」
期待する瞳の悟がばっ!とハルカを見る。
その視線を受けた彼女は一瞬だけ迷った。友人との約束と久しぶりに会う遠い地の二人に会う、前倒しの約束を天秤に掛けて。
恐る恐る彼女は父親を見上げる。どちらかを優先してそれを怒られないか、またそんな大事な事を子供である自分が決めてしまっても良いのか。
見下ろすハルカの父は微笑み撫でていた手でとんとん、と髪を柔らかく叩く。
「オマエが好きな方選びなさい」
『えっ…いいの…?』
悟の母が提案した、家で預かるという案。その選択肢を与えられてもてっきり父は祖母を選べと諭すのかと思ったのだけれど…と少し驚いてるハルカ。
優しい眼差しには強制なんてない。しっかりと娘の意思を尊重し、頭に乗せた手はわし…、と愛娘の髪を撫でる。
「悟君と約束したんだろ?おばあちゃんやおじいちゃんも大切だけどな、たくさん遊びたい大切な友達じゃないか、悟君は。遊びたいならそっちを優先すりゃ良いんだ」
『で、でも……』