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【呪術廻戦】運命の白い糸【五条悟】

第2章 邂逅編


ハルカは空気を読み、諦めの雰囲気を察した。
彼女はきゅっと唇を結んで視線は自然と下を向いていた。悔しいけれど明日の悟と遊ぶ約束は果たせないみたいだ、と察して。そんな今にも悔し泣きをしてしまいそうな彼女を悟は見ていた。
……事情は今聞いた。お手伝いをする為に家族揃って行く。それでも笑顔で明日遊ぼう!と約束したハルカの表情を思い出した。

「(俺よりも、婆さんの方を優先すんのかよ……)」

勝手かもしれないけれど、口に出さないだけ少しだけ成長したのだと思う。
幼いながらも彼女に自分よりも家族はそりゃあ優先するよな…と、そう思い、悟は母のロングスカートを掴む力を強める。

悟は家族に愛されていないわけではない、両親も居るししっかりと彼自身に愛情を注がれていた。けれども五条家のひとりだけの子供……、家で注がれた愛情は少しばかり彼を自由気ままにさせてしまったらしい。保育園では俺様気質を出し、皆が距離を取っていた。だから少しばかり寂しさを感じていた。
家では十分に愛されても家の外では与えられる愛情を実感出来ない。団体で遊ぶ時はまあ…遊べたとしても基本はやや孤立しがち。
そこに同じく始めから孤立しがちなおどおどしたハルカがやってきたのだ。家の外で空っぽだと思っていた自身の心を満たしてくれる、友達になる彼女が。

手に入れた初めての友達が、少しずつ明るくなり悟以外の子供達とも遊ぶ。それすらも悟の心の奥でもやもやとした気持ちが満たしていた。でも……嫌われたくない。せっかく手に入れたモノを手放したくないから彼の苦手な"我慢"をしてハルカの側から離れないくらいの距離は最低保っていて。
心の奥で悟はハルカが遊ぶ子供達を見下す所もあった。「オマエらは保育園の外でコイツと遊ぶ事なんてないんだろうな?」その言葉は口には決して出しはしなかったけれども…。

その優越感に浸れた、プライベートでのハルカを彼女の家族を優先するからと取られてしまう。
本当は前に喧嘩した時みたいに「嘘つき!」と罵ってハルカを怒ってやりたかった。でも、あの時みたいな雰囲気になりたくないし、今でさえ泣きそうなハルカを追い詰めたくなくて……。
必死にそれを堪える息子を見て、悟の母は同じ髪色を何度も何度も撫でる。親猫が子猫を舌で舐めるように、愛おしそうに。
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