第2章 邂逅編
田舎から都会へとやって来た、借りてきた臆病すぎる猫のようなハルカも少しずつではあったが、悟以外とも打ち解けていく。観察するような、ビクビクとした視線も落ち着きただ大人しくちゃんと笑う普通の女の子として保育園で認めて貰えるようになった。
……つまりは、ハルカを白髪だから、とかよそ者だ、などと差別し虐める意地の悪い子は引越し先であるここには存在しないという事となる。
だから明るくなってきたハルカには悟以外にも普通に遊ぶ同性の友達も出来たし、男の子とも遊ぶこともあった……もちろん、側には必ず悟が居て(不機嫌そうな表情は相変わらず)ハルカが遊ぶ子達は以前はあまり遊ばなかった悟とも自然とやっていけるようになっていった。
週末がやってくる。保育園が休みになる週末は楽しい友達達との時間は家で過ごす家族の時間に切り替わるのだけれど。
近所同士、いや家族ぐるみで仲の良い五条家とみたらい家の同じ年齢の子供達は大体休みに入る前に約束事をして、遊ぶ事もしばしばだった。
たまに家の都合でどうしても遠出する為に遊ぶ約束を断る事もあったけれど……。
そういう時は例えばハルカが母親の手をぎゅっと握り、五条家へと行き、用事があるから遊べないと親同士で話し合うのを聞き、不機嫌そうな悟は怒りながらもすぐに泣きそうな目元で「ハルカの嘘つき!」と家の中に走って入っていく。その背にハルカも『ごめんなさい!』と泣きながら叫んだとしても、保育園がまた始まる週明けには少し距離を開けつつも自然といつも通りの仲の良いふたりに戻る…。
そんな壊れそうで壊れない幼い友情を積み重ねていた。
しかし今週末はいつものそれらとは違う、いや違かった。
『あのねっ、明日悟君と遊んでもいーいっ?』