第2章 邂逅編
……余計に察する大人たちと不機嫌な顔をしながら真っ赤になる悟。
しかしこれは子供同士の約束の話。子供達がこうも微笑ましいのは良いけれど、いくら近所とはいえ明日他所の子供(遠い親戚ではあるけれど)を急に預ける・預かるという話が出たのだ。
そこはちゃんと大人同士が話さないと…と、ハルカの母は悟の母に明日預けてしまっても良いのかと確認し、五条家も特に用事も無いという事ですんなりと子供同士の約束は果たされる。
この時点では約束は成立する、と確証された瞬間だった。
『(……明日が楽しみだなあ…っ!)』
母の手をぎゅっと握りハルカからぐいぐいと車方向に向かう足。
そしてハッとしては足を止め、ご近所さんであり遠い親戚であり。唯一の友達だと思ってる悟達より先に進んでるという事に気が付いて待つハルカと、今は隣を歩くのは少し気まずいと感じながらも、近くまで小走りに行き、彼女との間に子供一人分の隙間を開けて一緒に歩く悟……と、保育士に挨拶し頭を下げてから息子の後に続く悟の母。
両家の母が迎えに来た車は離れた位置に停めてあったが、ドアを開ける前に悟は立ち止まってハルカをじっと見た。その視線に彼女も立ち止まる。今はむすっとして不機嫌そうな彼ではあるが、彼女にはこの状態の悟は本気で機嫌が悪いんだとか、そういうものではないと薄々感じ取れていた。その彼女の察した通りに悟自身はもちろん不機嫌ではなく、むしろ今のハルカの顔に堂々と表している表情と同じく内心嬉しくて仕方がない。
それを容易に表情に出したら大人達にまたニヤニヤと笑われる…そいつは勘弁して貰いたい、と彼なりに見栄を張り、大人ぶって感情を押し殺していたりする。
……まあ、そんな事をしても彼と長く居る母もハルカの母も、ハルカにだってバレているのだけれど。
「……じゃあ、明日な」
『うんっ、明日、悟君のお家に行くねっ!』
「………ん、」