第2章 邂逅編
「明日、休みじゃん」
カコン、カコン。遊びとしてシーソーが楽しいかといえばそうでも無さそうで、順番待ちしないからとりあえず使ってやってる、という悟と、ひとりでは決して遊ぶことの出来ない、大人以外と遊ぶシーソーに内心楽しみ、喜んでいたハルカ。悟が急に会話を挟んできたので目の前でシーソーで遊ぶのに同じ格好をしてる悟を真っ直ぐに見る。
「ハルカどうせ休みでも暇なんだろ?遊べ」
『(いつも以上に偉そうだなあ……)』
当たり前だ、という言うようにハルカの明日の予定を自分と遊べと誘う悟。ハルカは特に習い事をしているわけでもなく、事前に出かけるという話を家族としていなかった。だから暇というよりも"予定が無い"という言い方が正しいのだけれど。
威圧的というか、自己中心的な言い方であってもたったひとりの友達。それも、遊んでくれるというのだからハルカはニコッと笑って頷いた。
『ん、いいよ!明日も遊ぼう!』
「マジか、誘って即答とか入れ食いだろ…ウケる」
ウケるかどうかは別として、笑う彼女の柔らかな表情に釣られて悟も表情を僅かに綻ばせる。
ハルカがぎこちなくとも一生懸命シーソーを漕いでいるのを見て、楽しいなんて言葉を出さずとも彼女が目を輝かせて楽しんでるのが見て取れた。
「(……こんなん、楽しいか?)」
別に悟自身、シーソー遊びが楽しいワケじゃない。けれども目の前で内に押し込め切れないハルカがせっかく楽しんでいるんだ。それをわざわざ邪魔したくないと思ってしまっていた。
もう少し付き合ってやろう、とバレないように小さくため息を吐き、悟は真っ直ぐに髪を揺らすハルカを見る。
「公園で遊ぶのも良いけど明日は俺んちで遊ばねえ?」