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怪しい者ではありません【名探偵コナン】

第6章 好機逸すべからず


始まったばかりの尾行は即刻中止、赤井さんは小学校の近くにあった公園の駐車場に車を停めた。

考え事をしてるんだろう、運転席の彼は眉間にシワを寄せ、難しい顔をして腕を組んでいる。


しばらくしてから、「教授が殺害された時の状況は?」「教授に家族は?」「ウォッカが留守電を残すのはいつだ」「では教授が殺されるのはその前か」「ボウヤ達が向かうのはいつ頃だ」等々いくつも質問をされ…ザックリとしたことしか覚えてはいないけど、記憶のままを伝えた。


彼はまたしばらく押し黙った後、無言で革のライダースのポケットから煙草を取り出し、火を点けようとした…けど、その動きがピタリと止まる。


「この車は禁煙だったな…」

「なーんだ…画期的な作戦でも閃いたのかと思いましたよ…」

「いや?画期的とまではいかんが策はある。すまんがしばらく此処で待っていてくれ」

「はい…」




車外へ出て公園の敷地内に設置されていた灰皿の側で煙草を吸う赤井さんを、少し距離のある車内からひっそり眺める。

顔小さい…脚長い…怖カッコイイ(そんな形容詞あったか)…

やっぱり何と言っても彼からは只者じゃないオーラが滲み出てる。おまけに今はサングラスのせいで余計に近寄りがたい雰囲気倍増だ…

“赤井さん”は“赤井さん”…大好きな一(いち)キャラクターではあるのだけれど、彼も“ひとりの男性”であるのもまた確かなのであって…

自分はこんな人相手に酔っ払って好き勝手言って迷惑かけてたんだなって…改めて昨夜までの色々を思い出してしまえば、また叫び出したくなってきた…

けどそこは堪えて飲み込み…自分の足元に視線を落とした。




しばらくして車内に戻ってきた彼からはふわりと煙の匂いがして。懐かしいような、ホッとするような…不思議とその香りに心が落ち着いた気がした。

この世界にやって来たことで体質が変わって、嗅覚の好みも変わったりしてるんだろうか。




再び走り出した車の中、まずは赤井さんの考えを聞かせてもらった。組織の人間を発見、追跡できそうなその策に、気乗りはしないけれど私も同行することになり…

それからは彼の指示通りにひたすら明美さんの恩師、広田正巳教授の情報をネットで探った…何本か電話も掛けて…ついには教授の自宅の住所の特定に至った。
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