第1章 入れ替わった…?
今の私には、戸籍はないけど現金ならある(違法取得物)。スマホも銀行口座も身分証もないけど…10億あれば一生ホテル住まいも可能か…?
例えば1泊5000円のビジネスホテルなら、1日5000円✕365日=……200万円あればお釣りが来るだろう……10年で2000万弱だから……生活費を足しても充分いけそう。
でも…車にも乗れない、病院は保険証がない私を診てくれるのかも分からない、万が一に素敵な男性と出会っても結婚もできない人生って……
まあ、若くしてガンで死ぬよりは、よっぽど楽しい人生になるかもしれないけど……
「ねえ、スマホってどうにかならないかな?電話番号がないと、この先何するにも色々不便そうでさ……」
「俺に言われても……俺だって未成年だし、まず身分証がねーし…」
「そう!それなの。身分証無いと全部手詰まりなんだよねー…」
「俺としてもさんと連絡が取れねーのは不便だしな……こうなったらしゃーねーか…ハカセに頼んでみるか?」
「いいの…?」
「まず第一にだ、いつまでも俺んちに居座られたら怪しいじゃねーか…」
「あはは…悪いね、ほんと…」
かくして私は阿笠博士に自分を紹介してもらい、事情を説明し……小さくなった新一くんには、こんな道具があると便利そう!って大声で独り言を放ち。
翌日、念願のスマホを手に入れた。(お金はとりあえず前払いした…以後はたまにハカセの元に顔を出し、現金で支払っていく約束だ)
電話帳に登録されているのは、コナンくんとハカセの番号だけ。前の世界で自分が初めてケータイ持ち始めた時ってこんな感じだったのかな。
これからここに新規の登録は増えていくんだろうか。
友達って、どうやって作るんだっけ。
そんな事を一人で工藤邸のリビングで考えていた昼下がり。
突如玄関のチャイムと思われる音が鳴り、初めて聞く音にビクッと身体が反応した。
コナンくんは…いつもチャイム鳴らさないから、ハカセ…?それとも宅配業者?いや何も頼んでない。
そろそろと立ち上がり、インターフォンの画面を見て固まる。
訪問者の人相に見覚えがありすぎて、どうするべきか迷う。
こんな展開、記憶にはない。
だってこの人は、もう少し後から出てくるハズでしょ……!?
画面にはあの“赤井秀一”が映っているのだ。