第5章 陶酔、溢れる本音
「赤井さんは、安全に身を隠す為に顔も声も変えられる技術を手にするんです!見た目も声も全く別人みたいになるんです。でも、姿を変えて生きてることは、ごく限られた人しか知らなくて…FBIの中だとジェイムズさんだけです…だから、この事は絶対に誰にも話しちゃダメですよ?」
「ああ。なるほどな…敵を欺くには味方から、か…」
「そうです…で、“沖矢さん”になった赤井さんは四六時中家に居る生活を送ることになるんで、料理もするようになるんです。さっきの肉じゃがとか、よく作ってるイメージですね」
「俺がか…?」
「はい」
「……人生何があるか分からんものだな」
「ですね…」
「では、“アムロ”というのは?」
「っ!そっちも話さなきゃなんですか…?」
「ああ」
余計なことは口走るもんじゃないな…と少し前の自分を反省する……
「“安室”っていうのは、バーボンがこの先に使う偽名です」
「ほう…?」
「“安室透”って名前で、いずれこの米花町に潜入してきます。彼は顔は変えてないですから見れば分かると思いますけど、その時には赤井さんは沖矢さんになってるんで、初対面のフリをしなきゃいけないんです」
「……つまり、さんはバーボンの事も好いているんだな?」
「…え?」
「言ってただろう…口元を緩ませながら“沖矢か安室でもこうなるかも”と」
「そりゃあ…安室透はこの世界随一の優しいイケメンですからね…」
「ああいうのが好みなのか」
「好みって……前にも言いませんでした?スコッチも、バーボンも、赤井さんも…皆同じように好きなんです」
「俺に気は使わなくてもいいぞ?」
「……どういう意味の“気”?」
「…分からんならいい」
「はい…」
ちなみに私は、コナン界の特定のキャラを推していた訳ではなく、“箱推し”と言われる、その界隈全体を好んでいた部類のファンである。
「キールが事故に遭うのはいつ頃だ?」
「それは…この世界って時間の設定がちょっと変で……1年の間にとにかく事件が色々起こるので、ニュース記事を参考にして今の流れを読んでいくしかないと思ってて……でも確実に言えるのは、まだ先ってことです…安室透が米花町に現れるのは更に先ですし…」
「…つまりは向こう1年程で組織との決着も付く、と思えばいいのか?」
「…おそらく、ですけど」