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怪しい者ではありません【名探偵コナン】

第5章 陶酔、溢れる本音


大満足だったランチからの帰り道はまるでデートさながら、赤井さんと買い物をしにデパートへ来た。

ちょっとしたパーティーにも着ていけそうな綺麗なドレスワンピース、それに合うアクセサリーまで手に入れて、私はすっかり上機嫌。


「これでどんな場所でも潜れるな」

「あ、そうか……私って、また張り込みとかすることあるんですかね…?」

「さあ…分からんが、逆にこちらが尾行される事もあるかもしれん。用意しておくに越したことはない」


だけど浮かれている間にすっかり失念していた。そもそもこんな服を買ったのは、尾行や張り込みの際に自分の雰囲気を一変させる為、それからかしこまった場所にも溶け込めるように、って目的があったんだった。

出来れば危険な目には遭いたくないけど……!

悲しいかな浮ついた気分は元通り…デパートを出て、車を今朝と同じ倉庫で乗り換え、赤井さん宅に帰宅した。

買ってきた物と洗濯物を片付けて一息ついて……キッチンにて冷蔵庫のドアを開け閉めし、夕食のレシピに頭を巡らせる……定番だけど今夜は肉じゃがと焼き魚にしようか…

リビングでは赤井さんが缶コーヒーを片手に、何やら難しそうな顔をしている。

大事な考え事の最中だったら邪魔すると悪いかもしれない。スーパーへの買い物は一人で行ってこよう、と再度出掛ける準備を整える。


「赤井さーん?私、スーパー行ってきますね!」

「ん?ああ、少し待て。俺も行く」

「別にいいですよ、すぐ近くだし」

「いや…さんはバーボンに顔を見られているだろう?万が一の事を考えるとな…一人にはさせられん」

「万が一って…?」

「今日の事でおそらくバーボンは、君を宮野姉妹の関係者だと思っただろう……つまり、君を拘束すれば逃げたシェリーに繋がる何かを得られるかもしれない、と彼が考えるのは自然なことだ」

「拘束!?私が!?」

「さんを巻き込む形になってしまったのは申し訳ないんだが、今はそういう状況だということを頭に入れておいてくれ。勿論、君のことは俺が責任を持って守るが」


淡々と赤井さんはそう言ったけど…それってすごく危険なのでは!?もし捕まって調べられたら…私って、戸籍も存在しない超怪しい人間だ。

私の理想、平穏無事な生活がどんどん遠のいている気がする……もう潔く諦めるべきか。
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