第3章 パンと卵とコーヒーさえあれば
スーパーにて食パンと卵はもちろん、調味料類や食材もいくつか買い込んだ。荷下ろしの時も然り、重いレジ袋も平気な顔で軽々持っちゃう赤井さんはやっぱり素敵。
ふと、こんな恋人がいたら最高ー…なんて大層生意気なことを想像してしまった。夢の夢の、そのまた夢でもないと叶わない話だ。
帰宅し食材を冷蔵庫に入れていけば、なんだろう、不思議と落ち着いた気分になった。
リビングのソファでテレビのニュースを見ている赤井さん。ちょっと距離を置いて、隣に私も腰を下ろした。コマーシャルになった所で声を掛ける。
「赤井さんはお風呂は朝派ですか?夜派ですか?」
「…特に決めていない。入りたい時に入る」
「お湯には浸かる人?」
「ほとんど浸かることは無いな…」
「じゃあ今夜は?」
「そうだな……君が俺と一緒に湯舟に浸かりたいのなら付き合うぞ」
「…なんでそうなります!?」
彼の上半身がこちらを向き、伸びてきた手に髪を撫でられる。その手つきも彼の顔も声も…色っぽいのなんのって……
マズい…顔が赤くなってきそうだ…
身を硬くしていると、突如鳴り出した自分のスマホ…コナンくんかハカセか、どっちだ。
助かったとばかりにパッとその場に立ち上がり、スマホを確認すれば相手はハカセだった。
「電話してきます!」と自室に逃げ込み、電話に出た。
「もしもし!何かありました?」
「くん!あー、何から話せばよいか…あの、あれじゃ、くんは、ワシが小さな女の子を助けることになるのを知っていたのかね?」
「それって…!茶髪の可愛い女の子、ですよね?」
「そうじゃ…じゃが…彼女は新一と同じ薬を飲んで身体が縮んだと言っておるんじゃよ…そんなこと、あるかね…」
「あるんです、彼女の言ってることは本当です、彼女はあの薬を作った張本人ですから…」
「じゃ、じゃが…黒ずくめの組織から逃げてきたと言うのも本当なのか?」
「本当なんです…信用して大丈夫なのは確かです…たしかハカセの知り合いのお子さんなんじゃなかったかな…?」
「ああ…それも聞いたよ…とても信じられんのじゃがな…くんがそう言うなら、本当なんじゃな……」
ついに哀ちゃんがハカセの元に現れたようだ。
本名は宮野志保……何故か私と身体が入れ替わった、明美さんの妹だ……