第2章 心機一転、二転、三転!?
この私が居酒屋で酔い潰れた?(今までそんな経験は無い)
おまけに私は人の家で自ら服を脱いで寝てたと?(もちろんそんな経験も無い)
赤井さんがこれまでの経緯を教えてくれたけど、身に覚えがなさ過ぎてとても自分の事とは思えない……自分が恐ろしい……
「私…こっちの世界に来てから昨日初めてお酒飲んだんです。前は普通に飲んでたし、そこそこ強かった筈なんですけどね…」
「それはもう何度も聞いた」
「うわ……それは…すみません……でもやっぱり私体質変わっちゃったのかなぁ…お酒飲むの好きだったのに…」
「……飲みたいのなら、また飲んでみればいい。ただし、次は俺の横でだ」
「はい!ぜひ!…実は昨日ですね、赤井さんに電話して、よかったら夜ご飯食べに行きませんか?って誘うつもりだったんですよ」
「それももう何度か聞いた」
「…本当にすみません……あ、あの、それで…私の身分証の件はどうなってますか……?」
「これも既に言ったがな……あと10日程で出来る」
「……ほんとにほんっとーにすみません…もう今からは忘れませんから!何から何までありがとうございます!」
「ああ……まあ、そろそろ服を着てくれ。で、着替えたら呼んでくれ。ホテルまで送る」
赤井さんが背を向けて部屋を出て行こうとする。だけどまだ非常に聞きにくい聞きたいことがある…
「あっ!あの……大変申し上げにくいのですが……」
「なんだ」
「私達…その…何もしてませんよね?」
「……君が何を思って聞いているのかは知らんが……俺は泥酔状態の女を抱く趣味はない。一晩限りの相手なら話も別だが…君とはこれからも長く付き合いたいからな…」
「……です、よね…?よかった…」
「中々良い身体に見えたからな…少々迷ったが」
「…ッ!?…もう、着替えるんで出てってください!」
してないなら“してない”って言ってくれればいいだけなのに!余計過ぎる言葉を残して彼は部屋から出ていった。
……彼は私を困らせるのが楽しいんだろうか。名探偵コナン界で随一のクールなキャラのクセに、その辺だけがイメージと違ってなんだか変な感じ……
そそくさと衣服を身に着け、私も部屋を出た。
出た先のリビングには、煙草を咥えている赤井さん。
無駄にカッコイイんだから……本当に困る……!