第2章 心機一転、二転、三転!?
さんから着信があった時、俺はFBIの上司、ジェイムズと内密に会っている所だった。内容は主に例の組織に関しての捜査状況の報告、それから証人保護プログラムの件。
彼女からの着信に気付いてはいたが、後で良いだろうと判断し、そのまましばらく、ジェイムズと話し込み……
それが終わってから、彼女からのメールを確認し、米花町方面へ車を向かわせながら電話を掛け直した。
ところが何度かコール音が繰り返された後に電話に出たのはさんではなく、そもそも男の声だった。
「もしもし!あの!この子の彼氏さんとかですか?」
「……君は誰だ……彼女はどうした?」
「すんません!僕、米花駅前で居酒屋やってる者なんすけど……」
電話口の男が言うには、彼女は泥酔して店のカウンターで潰れているそうで。どこの誰だかも分からないから閉店までこのまま起きなかったら警察に連絡するつもりだと言った……虚偽だとは感じなかった。
さんを警察に引き渡すのは、彼女自身の為に避けた方がいいだろう。彼女の身分、個人情報はまだ出来上がっていないのだから。
「迷惑を掛けたな、すぐ迎えに行く。店の名前と住所を教えてくれ」
俺は間もなくその居酒屋に到着、カウンターに突っ伏しているさんを回収した。
担いで車に乗せたはいいが、彼女はまともに会話が出来る状態ではなく……
滞在先のホテルは分かっているが、部屋の番号までは知らんし…とりあえず自宅へ連れ帰った訳だ。
ベッドにさんを座らせ、水を渡せば彼女は無言で飲んだ。
しばらくすると多少はマシになったようで、陽気に喋り出した。酔っ払いによくある…何度も同じ話を繰り返す彼女を、俺は適当にあしらい続けた。
「あかいさん!もうなんででんわでないんですかー」
「それは先程も聞いたし、答えた」
「え、ちょっとよっちゃったかな」
「そのようだな」
「わたし、おさけつよいんですよー?」
「全く強そうには見えん」
「でもきょうはたのしかったー!」
「おい待て……さん!止めるんだ……おい……」
最終的にさんは突然服を脱ぎ出した。恥じらいもせずに俺の目の前で半裸を晒し、布団に潜り込み、寝た。
そういう経緯だった、と彼女に話した。