第2章 心機一転、二転、三転!?
部屋のテーブルにスポーツ紙を広げ、キッドについて書かれた記事を読む。まあ、書かれていることは知ってることばかりだけど。
博物館に展示される宝石を狙うって書いてあるけど、たしかこれってウソで、本当の盗みは後日、船でやるんだったかな。
そこでスマホが鳴り出した。コナンくんから着信だ。
電話に出れば「聞きたいことがあるから今からそっちに行ってもいい?」とのこと。もちろんOKだ。
数分後、部屋にコナンくんがやってきて、彼が開口一番に口にしたのは「ねえ、怪盗1412号って知ってる!?」だった。
「知ってる知ってる!キザな大泥棒さんだよ。私もさっきビックリしてコレ買っちゃった!」
先程のスポーツ新聞を手に取り見せれば、「貸してっ!」と新聞は手から引っこ抜かれた。
彼はベッドの上に新聞を広げ、記事に見入っている。
「怪盗キッド…会ってみたいもんだぜ…」
「予告状の暗号解いて、会いに行ったら?」
「ああ…俺が暴いてやるよ…今時予告状なんて送り付けるレトロな泥棒さんのツラをよ…」
「うーん……まあ、コナンくんは、これから彼といい意味でライバルになるよ。お互いを高め合える存在っていうのかな…」
「俺とコイツが?」
「そう。時には助け合うこともあるかも」
「泥棒と助け合う!?」
「まあ…キッドは私利私欲の為に泥棒してる訳じゃないみたいだから…その辺の窃盗犯とは全然違うんだよね」
「ん?実は良い奴なのか?」
「……そうだね…私はそうだと思ってる」
「ふーん…ま、泥棒は泥棒…悪い事してんのに変わりはねぇよ…」
コナンくんは新聞を畳むと、ポケットから紙切れを取り出す。キッドが送ってきた予告状のコピーだ。それを私に見せながら、「コレ、何のことか分かる?」って聞いてきた…けれど…
「それを言っちゃあつまんないでしょうよ…コナンくんなら解けるから大丈夫!」
そう、彼ならちゃんと解けることも分かってるから、教えなかった。
それからしばらく経った日の朝。いつものようにホテルの朝食を食べて、フロントで新聞を一部もらい、部屋に戻って広げていたら…
“怪盗キッドを撃退!?お手柄小学生!!”
と、コナンくんの写真が紙面に大きく載っていた。この記事、見覚えある。
最近“毛利小五郎”の名前もよく耳にするし、物語は順調に進んでいるようだ。