第2章 心機一転、二転、三転!?
「リビングの窓の向きは」「各々の部屋の広さは」「ペットを飼う予定は」「コンロは最低いくつ必要か」等々……
まだ私は“住む”とも言ってないのに…店員さんにも赤井さんにも口々に聞かれる。仕方なく「仮に私が住むんだったらの話ですよ!」と前置きして、理想の条件をいくつか提示した。
でも、条件に合う中から選ばれた良さそうな物件へ実際に案内されて見てみると、すごく“ココに住みたい!”って気持ちが膨らんでくる……
そりゃあだって私の出した条件にぴったりで、気に入らない所なんて部屋が一人で住むには広すぎることだけなんだから……
赤井さんは即決、即入居の手続きをした。
「さんはいつ頃引っ越してくる?」
「だから、自分の家は自分で探します!」
「以前言わなかったか?“私にできることがあれば何でも協力する”と」
「それとこれとは問題が違います」
「…怒った顔も中々可愛いものだな」
「っ!?…やめてください…」
無意識の内に考えてしまった。あの赤井さんが完全にオフのときの姿って……例えばラフな格好でのんびりお酒を片手に寛いでる姿とか…ニット帽を取ったらどんな感じなのかとか……そんな所が見れるなんて夢みたい!だけど……
嬉しいかな悲しいかなこれは夢じゃなくて今の現実であって。
付き合ってもない、しかも知り合ったばかり、加えてこれから危険な目に沢山合う予定の人物と一緒に住むだなんて私には考えられない。
できるなら平穏に無事に普通に過ごしたい……
ちょっと残念な気持ちもあるものの、そこは丁重にお断りして、ホテルの前まで送ってもらって別れた。
でも部屋に戻る前に…コンビニに足を向けた所、ランドセルを背負ったコナンくんと思しき男の子が前の方にいるのが見えた。
同じ年くらいの子供達と一緒…ってことは、歩美ちゃんと光彦くんと元太くんか。下校中?哀ちゃんがいないってことは、まだ哀ちゃん登場前……?
…哀ちゃんっていつから出てきてたっけ?
そんな事を考えながらコンビニに入れば、入口付近にあったスポーツ新聞の見出しに驚く。朝はこんなニュースなかったから夕刊か号外か。
“8年ぶり!?怪盗キッド予告状”
思わず手が伸びる。水とコーヒーと一緒に購入し、ホテルに戻った。
キッドとコナンくんの初対面は近々みたいだ。