第2章 心機一転、二転、三転!?
そしてやってきたのは米花町内の不動産会社。
店に入ればカウンターに着席を促され、赤井さんと並んで座る。
私も身分証が手に入れば引っ越したいし、参考の為に色々見てみよう。
顔面ににこやかな笑顔を貼り付けたような男性店員が大きなファイルを手に私達の前に座った。
「部屋を借りたいんだが」
「賃貸ですね!どういったお部屋をお探しでしょう?」
「この近辺で、セキュリティがしっかりしている所がいいな、それからあの車…アイツを停められる駐車場がある所……それくらいか」
「間取りのご希望はありますか?」
「特にない」
「お二人で住まわれるお部屋ですね?」
「えっ!まさか!」
赤井さんと私が一緒に住むような間柄に見えたのか。そんなの冗談でも恐れ多い。
でも赤井さんは笑ってる!
「なるほど、それもいいな」
「良い悪いの問題じゃ…」
「いや、悪くないと思うぞ?俺は毎日でも君の話を聞きたいし、同じ部屋に住めば君も家賃が浮く」
「…私お金には困ってませんから」
「だが見知らぬ土地で女性が一人で暮らすのも危ないだろう」
「いや…全く知らない土地って訳でもないです…」
「だが考えてみろ、君の存在をあの組織の奴らが知れば、是が非でも君を利用したがるだろう、警護のために同居するのもひとつの手だ」
「……私の存在がバレることなんてあります…?絶対関わらないようにしますけど」
「俺の家がヤツらにバレる展開はあったか?」
「あー……“赤井さん”の家が、っていうのはなかったですね…」
「ならそこに住めば君も安心だ」
言われて気付いた。この世界の先のことを色々知ってる私の話を赤井さんが聞きたいっていうのと同様、もしも私の事情が黒の組織の奴らにバレることがあったら、私は狙われるかもしれない。それだけは勘弁願いたい。(ジンやベルモットを見てはみたいけど、実際に会うのは怖すぎる)
寒気のようなものを感じていると、店員が申し訳なさそうにこちらの希望を伺ってきた。
「あの……間取りはどうされますか?」
「ああ、すまない。二人でも足りる間取りにしてくれ」
「でしたら2LDK以上ですね。コチラはいかがですか……」
まだ了承した訳でもないのに、淡々とやり取りが進む……
組織云々はさて置き、赤井さんの熱狂的ファンに知れたらこれはこれで殺されそうだな…