第2章 心機一転、二転、三転!?
たまに道路上に現れる青色の大きな道案内の看板を見るに、おそらく米花町方面へ戻っていると思われる車の中。
赤井さんは妙に真剣な声色で話し始めた。
「これは先日も聞いたが…さんも、やはり宮野明美は間違いなく死んでいると思うか」
「…た、ぶん……作中では、亡くなりましたから……」
「……いや実はな、俺は彼女を安全に逃がす為に証人保護プログラムを受けさせるつもりでいたんだ…準備は既に進んでいる。プログラムのことは知っているか?」
「はい…」(氏名や生年月日を変え、全く別の人間になるやつのことだ)
「なら話は早い……君が、明美の代わりにそれを受ける気はないか?」
「っ!…私が…ですか?」
「身分証が手に入り、堂々と生活できる」
「ほしいですけど……でもいいんですか?」
「元々明美にやろうと思っていたものだ。その明美がもういないとなれば、問題ない。年齢も近いように見えるしな」
「……明美さんっておいくつでしたっけ?」
「25だな」
「そっか、近い…」
正直、明美さんの為に用意してたものを使わせてもらうのは気が引ける……
でも赤井さんの言う通り、彼女はもういないのも確かで……
私にとっては身分証を手に入れられるなんて願ってもないことで……
「どうだ?悪い話じゃないだろう」
「……はい…じゃあ…お願いします」
「ああ。名前はどうする?さんの今の名前を使いたいか?」
「…できるなら、はい。同じがいいですね」
「よし……そうと決まればまずは住所探しだな」
「身分証に載せる住所ですか?…私、まだ家の契約はできないですよね?」
「今はまだ出来んが大丈夫だ。俺もあの組織を抜けて以来しばらくホテル住まいでな…そろそろ何処かの部屋を借りようと思う」
「へえー…」
「君は、俺が借りた部屋の住所を使えばいい」
「なるほど!お借りしていいんですか?ありがとうございます!」
「別に礼を言われる事でもない……この後もまだ時間はあるか?」
「はい!なーんにも予定はありませんから」
「では部屋探しに付き合ってもらおうか。君の最初の住所にもなる部屋だ」
「はい!」
私は保護プログラムを受けるのを了承した。
嬉しいものの、なんだろう…こんなに上手くいっていいんだろうかって不安も少しあったりする……