第2章 心機一転、二転、三転!?
翌週、この世界に来てからずっとお世話になっていた工藤邸を出た。ちなみに現金のほとんどは、新一くんの部屋のクローゼットに置かせてもらうことにした。
引っ越したのは米花駅の側のビジネスホテル。とりあえず近くて良さそうなホテルに1ヶ月部屋を取れないか聞いてみたら、思いの外安価で予約が取れたのだ。
綺麗で気持ちいい大浴場も朝食も付いてるこのホテル。この値段なら一生ホテルに住んでもいいかも!
なんて最初は思ってたものの。
まず3日も立たない内に外食に飽きた。朝食のメニューもほぼ毎日同じだし。
それに部屋には日々暮らす為のものを置くスペースはあるけど、これから季節が変わり自分の服装も変わってくるとなると、今は使わないけど来年また必要になるものとか、買い置きしておきたい雑多の置き場所に非常に困りそうなのだ。
これから服はファストブランドで季節毎に買い直して揃えるべきか……靴も鞄もそんなに買えないな。
買い置きもギリギリを見計らって買うようにしないといけない。
それから、とにかく暇だ。米花町散策もやり尽くした(意外と普通の街)。こうなったら気軽で楽しそうなバイトでも始めようか。
特にすることもなく、そんな贅沢な悩みで頭を膨らませていた。
目下の悩みが今日の昼食問題。思い切って杯戸町まで足を伸ばしてみようか…なんて考えていた所。スマホが鳴り、着信を知らせてきた。相手は……赤井さん!
咳払いをして、声の調子を確認し。(朝から一言も喋っていない)何故か背すじを伸ばして電話に出た。
「もしもし!です!」
「俺だ、赤井だ」
「はい!どうかされました?」
「いや…また君の話を聞かせてもらえればと思ってな。今日時間はあるか?」
「いつでも大丈夫ですよ!」
「…昼飯は済んだか?」
「いえ!まだです」
「それなら何処か食べに行こう、迎えに行く」
「わー!ありがとうございます……あ、でも私引っ越したんです。今は米花駅の近くなんですけど…場所、分かります?」
「米花駅なら分かる。駅前の広場でいいか?」
「はい!」
「すぐに来れるか」
「えっと…10分程で!」
「了解した」
プツりと電話が切れる。
スマホを置いて、メイクが崩れてないか鏡の前で確認する……
……赤井さんとランチだなんて……夢のようだなこの世界!