「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第1章 プロローグ
「丸井くん、比嘉中の部長の彼とぶつかりやすいのなら、ぶつからないよう、行き会わないよう意識を心がけたらよろしいのではないでしょうか」
「ああ、だな!」
柳生の言葉で丸井は食欲が戻り、お皿に乗っていたパンを全部食べ終わりました。
丸井は柳生の言っていた通りに、明日から心がけます。しかし、それでも丸井が木手とぶつかったり、行き会ったりするときが続きました。
図書館で借りたい本を取るときや、掲示板を見に行ったとき、散歩でいつもとちがう道を通ったときなどです。
その翌日のサーキットトレーニング後で水道で丸井が木手と行き会ったとき、
「どうもお前とよくぶつかったり、行き会ったりするな」
と、とうとう本人に言ってしまいます。木手は水道の水を飲んだあと、丸井の方に顔を向け、
「たまたまが重なっているだけでしょう。あなたの気にし過ぎでは」
そう言って、どこかに行ってしまいました。
「そうだよな。たまたまだよな。けど……」
一度は納得しかけた丸井でしたが、やはりたまたまにしてはおかしく感じます。
考えると、木手からアクションを起こしているのではないかとも思い始めていました。