「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第4章 地下鉄より地下の秘密のテニスコートへ
丸井は携帯を荷物から取り出し、柳生の番号に掛けました。しかし、柳生は電話に出ませんでした。
「つながりましたか?」
木手に聞かれ、丸井は首を横に振り、
「だめだ」
と、電話を切り、携帯をしまいました。
「柳生くん、出られませんか」
「なあ、お前の縮地法なら、あの人に気付かれずに四番ホームまで行けるんじゃね?」
丸井が期待の眼差しで言うと、
「無理です。縮地法は瞬間移動の魔法ではないのですから」
と、呆れて言った木手です。
「そっかぁ」
「あれ、おまんら」
白髪の一つ縛りの少年が丸井と木手に声を掛けてきました。仁王です。
「仁王くん」
「良いところに来てくれたな」
「間違った電車に乗ってここまで来たんじゃが。ん?」
理想のペアがすごく喜んだ表情でいたからか、仁王は首を傾げます。
その後、事情を知った仁王は、理想のペアに変装のカツラとメガネを貸しました。また、仁王は理想のペアの立てた作戦に協力をしてくれます。
作戦は仁王が丸井にイリュージョンし、茶髪の外国人男性を引きつけている間に、変装した理想のペアが四番ホームへ急いで向かうかたちです。
「これであの人にオレたちだって分からないよな」
「完璧に別人になれたと思いますがねぇ」