「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第4章 地下鉄より地下の秘密のテニスコートへ
「今は湫袋駅に向かうことのみの集中ですよぉ」
「ああ。あっ!」
丸井は返事をしたあと、木手の腕をいきなり引っ張ります。
「何ですか」
木手は困った表情になっていました。
「ちょっとこっち」
丸井は木手の腕を引っ張り続け、少し戻った場所まで行ってしまいます。
「あなたね、戻ってどうするのですか」
「ここなら、大丈夫だな。わりぃ、引っ張ったりして。今、向こうにいたんだよ、さっきオレをさらった茶髪の外国人の男が」
「え・・・・・・」
驚いていた木手ですが、丸井の目を真っ直ぐ見て話の続きを聞きます。
「さっきあの人、警備員たちに連れ去られたはず。あのあと、こっちまで逃げて来たというのかよぃ。信じられねぇ」
「ゲームはラストまで気が抜けないと、柳生くんのおっしゃる通りになってしまいましたね」
「何とか、あの人に見つからないように先へ進めねえかな。別のルートから行くとか」
「無理ですね。四番ホームへ行くには、どうしても彼の近くを通らなければなりません」
「こんなことなら柳生から変装のカツラを借りておくんだったな」
「待ってください、丸井くん。まだ柳生くんは金座駅にいらっしゃるのでは?」
「あ、そっか」