「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第4章 地下鉄より地下の秘密のテニスコートへ
理想のペアは湫袋駅へ行くため、金座駅の指定ホームに向かっていました。
「三角ノ外線の湫袋行きの電車に乗り換えたら、湫袋駅に着くんだったよな」
と、木手に話し掛けた丸井です。
「ええ、ちなみに湫袋行きの電車は四番ホームに来ますよぉ」
「ああ、湫袋駅に着いてボール五個目が手に入ったら、やっと黒部コーチのゲームが終わるんだなー。長かったよなー」
「はい、今回は長く感じましたね」
「うしっ、あともうひと息だろい」
理想のペアが足取り軽く金座駅構内を歩いていたときのことでした。お菓子を売っている外国人の子どもたちがいたのです。
「お菓子いかがですかー?」
「美味しいキャンディーとクッキーがありますよー」
「おっ、お菓子か。買っちゃう?」
丸井がお菓子を買いに外国人の子どもたちのところに行こうとすると、木手がゴーヤーを丸井の目の前に出します。
「あなたねぇ、そんなにゲームオーバーしたいですか」
「わかってるよ。買わねー、買わねー」
本当はお菓子が欲しかった丸井でしたが、木手に止められたことで、今は黒部コーチのゲーム中だということを思い出し、我慢しました。