「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
「キテレツ、どうした? 混んでるから、早く行こうぜ」
丸井が腕を引っ張ろうとすると、
「わかってます」
木手はさっと避け、先に行きます。
「人とぶつかりそうになっていたから助けようとしただけなのに。マジでどうした? キテレツ」
と、丸井はつぶやいたあと、木手のあとをついて行きました。
金座駅の改札口を抜けると、柳生博の姿が見えます。柳生の方も理想のペアに気付き、
「やあ」
と、片手を上げて迎えました。
「金座駅は柳生が立ってたんだな」
「はい、黒部コーチからゲームのことは聞いています。丸井くんたちはボールを五個集めているのでしょう。集めるだけなら楽勝ですね」
「それが、簡単にはいかないゲームになっていたんだ」
丸井は木手と濡烏の件も含めて柳生にこれまでにあったことを説明したのでした。
「ほー、大変でしたね。あなたたちのお話を聞いていると、何度もゲームオーバーになりそうだったじゃないですか、丸井くん」
「ああ、はいはい、オレだな」
柳生がメガネを光らせながら丸井の方に顔を向けて言ったため、丸井は片手を後ろ頭にやっていました。
「これでボールは何個目ですか?」
ポケットからボールを出した柳生に聞かれ、