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「新テニ」理想のペア、Exciting situation

第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ



 「……」
 ここで丸井はようやく、何か買おうとする度に木手が阻止した理由が解ってきます。神妙な面持ちでいました。


 「その様子だと、オレが答えを言うまでもありませんね」


 「黒部コーチのゲームって、初めからお前との勝負とちがっていたんだな」


 「ええ、オレはあなたが誘惑に負けないよう阻止するよう、コーチから指示されていました」


 「何か恥ずかしいな。お前との勝負と勘違いして。早歩きとかしてバカみてーだ」


 「まったくですね」


 「お前って、慰めないよな」


 「慰めてどうしますか」


 「いいよ、もう」


 その後、金座駅に着くまで理想のペアの会話はありませんでした。電車に揺られるまま、二人とも外の方をぼうっと眺めていました。


 金座駅に到着し、降りてからも丸井と木手は濡烏が追ってきていないか前後左右見ながら歩きます。


 「さすがにここまでは追って来ないか」


 「そうですかねぇ。その辺に彼がいそうな気がしてなりませんがねぇ」


 「いない、いない。大丈夫だって。それより、金座駅に誰か立っていないか一緒に探そうぜ、キテレツ」


 「……」
 これまで、丸井が駅に着く度に急いで歩いていたことを思い出していた木手です。今回はこれまでと正反対に丸井がゆっくり歩いていたため、木手は一瞬思考が止まっていました。
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