「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
「正確にはあなたにですがねぇ」
「え?」
「あと他に何か?」
「えっと、お前が阻止した理由って、あの人にたくさんいろいろ買わされそうになるからとか」
「まあ惜しいところですね」
「じゃあ、何だよ。阻止した理由って」
「答えの前に、あの外国人の男性は外国人ではありません」
「外国人じゃないって……」
木手の突然の言葉に丸井は途中まで膨らませていた風船ガムが割れてしまいます。
「濡烏醤(ぬれがらすひしお)さんと言う日本人です。彼は外国人のフリをしてオレたちに近づき、ゲームオーバーを仕掛けに来た黒部コーチの友人です」
「ウソだろい……」
外国人の正体について明かしていた木手に、丸井は信じられないでいました。
「事実です。あなたが本当の外国人にさらわれたあと、彼は自らそうおっしゃっていたのですから」
「じゃあお前、小手町駅に合流する前からあの人の正体を知ってたってこと?」
「はい」
「黙ってたのかよぃ」
ちょっと怒っていた丸井です。
「彼がいる前で言えるわけがないでしょう。まったく、あなたがなかなか彼が怪しいと気付かないものですから、こっちはヒヤヒヤしましたよぉ」