「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
丸井は木手から分けてもらったパンを食べ終えてから、なぜ何か買おうとする度に木手が阻止するのか再び考えます。その直後に、
「They sell delicious-looking desserts over there.(向こうに美味しそうなデザートが売ってるよ)」
と、濡烏が言って来ました。
「Sounds good(いいですね)」
丸井はそう返事したとき、ふと濡烏を見てこう思います。
(あの人、やたら美味いもの勧めてくるよな。それもキテレツには勧めないでオレに)
「丸井くん?」
丸井がうつむきながら考え事をしていたからでしょう。木手が尋ねます。
(もしかすると、何かたくさん買わされるかもしれないから、キテレツは阻止していたのか。オレのカンが当たっていたとしたら、これ以上、あの人に関わらない方が良さそうな気がしてきたな。気付かなくて悪かったな、キテレツ……)
「!?」
潤んだ瞳で丸井が木手の顔を見つめていたからか、木手はうろたえていた様子でした。
(とにかく、あの人から逃げねえと。どうすっかなー)
「丸井くん、パンがまだ残っていますが」
木手がもう一口パンを丸井に分けようとしていましたが、