「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
紙コップの中に注がれていく麦茶に、丸井の瞳が輝いていきます。
「お代わりはありませんからね」
「ああ、一杯だけでもありがてえや」
と言い、丸井はごくごくと麦茶を飲みました。
「Do you drink too?(そちらのあなたも飲みますか?)」
濡烏にも麦茶を勧めた木手ですが、彼はやんわりと英語で、
「No, thank you(大丈夫だよ)」
と、断っていました。
「……」
丸井は麦茶を半分くらい飲んだとき、木手はなぜ何かを買おうとする度に阻止するのかを考えていたようです。しかし、お腹の虫も鳴り、何も考えられなくなってしまいます。
「丸井くん?」
と、尋ねる木手に、丸井は恥ずかしそうに笑い、
「腹も減ってヤバい」
そう言いました。
「我慢出来ませんか」
「出来ないかも」
「Oh, there's a delicious-looking ramen shop over there.(おー、あっちに美味しそうなラーメン屋がある)」
ここまでの理想のペアの会話を聞いていた濡烏が再び丸井を誘惑します。
「I want to go to a ramen shop.(ラーメン屋、行きたいですね)Shall we go?(行ってみちゃう?)」
「……」
また丸井を誘惑し、ゲームオーバーを仕掛ける濡烏に木手は凝視していました。