「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第3章 金座駅までの誘惑とドギマギ
「(英語でも『Marui-kun』かよ。『Marui』とか『Bunta』じゃねえのか。って、気にするところはそこじゃなくて…)」
丸井が思い出し笑いをしそうになったり、首を横に振っていると、外国人男性がじろっと見て来ます。
彼の視線に気付いた丸井は姿勢をピンと正していました。そして、考え事を続けます。
「(木手は何でオレがあの外国人と飲み物と食い物のとこに行こうとすると阻止するんだ? 勝負が終わったあとにしろってことが言いたいんだろうけど、開始してから時間がかなり経つんだぜ。何か口にしないともたねえじゃん。やっぱり、木手が何考えているのかさっぱり分からねえ。まさか、オレを負かそうとする作戦なんじゃ。いやいや、そんなこと……あるんじゃ……。いやいやいや、初めからオレと勝負する気ないって言ってたじゃん……)」
「Hey, let's get off(おい、降りるぞ)」
茶髪の外国人男性に声を掛けられた丸井は、さっと席を立ち上がりました。
「Where is here?(ここはどこだ?)」
「Minami Kasagaya Station(南傘ヶ谷駅だ)」
「南傘ヶ谷か」
そう丸井がつぶやいたとき、警備員が目の前を通ったことであることを思いつきます。