第2章 芝谷駅で迷う外国人と幾つもの誘惑

　「ところでさ、喉が渇いただろい。あそこに自販機あるから、何か買って来ようか。キテレツ、何がいい？　Would you like something to drink?（何か飲みますか？）」


　「I want to drink carbonated drinks（炭酸飲料が飲みたいな）」


　「キテレツは？」


　「……丸井くん、今は飲み物を買っている場合ではないでしょう」


　「……」
　丸井が自動販売機で何か飲み物を買おうとするのを阻止した木手のことを、さらに怪しむ丸井です。


　「早く向かいませんか。金座駅へ」


　「What happened earlier?（さっきから何だよ）」


　「丸井くん？」


　「Every time I try to buy something, you stop me.（オレが何か買おうとする度に阻止しやがって）」


　「何も英語でなくても。日本語で話しませんか」
　木手が丸井を落ち着かせようとしましたが、丸井の英語が止まりません。アプリを使いながら英語でハキハキと話します。


　「I'm hungry, and I'm also thirsty.（オレは腹も減ったし、喉も渇いてるんだよー）」