「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第2章 芝谷駅で迷う外国人と幾つもの誘惑
「やはり、そうですか。それで二回もゲームオーバーしそうになりましたよぉ」
「ピヨッ」
「キテレツ、仁王と話していていいのかあ。これ、もらっていいだろい?」
木手と勝負中だと思っている丸井は仁王に断り、二個目のボールをゲットしようとしていました。
仁王はオーケーと頷き、丸井にボールを渡します。
「やりぃ!」
二個目のボールをゲットした丸井は背中に背負っていたリュックの中にしまいました。一個目のボールもその中に入っていたのでした。
丸井は仁王にじゃあなと手を振ったあと、急いで次の万川駅へ行く切符を買っていました。
「丸井くん、そんなに急がなくていいのでは」
木手もその隣で切符を買います。
「負けてられないからな」
「そうですか」
木手は丸井の言っていた言葉を誘惑に負けていられないと捉えていたようです。しかし、丸井の言っていた言葉の意味は木手に負けていられないといった意味でした。
「……」
勝負は今のところ丸井が勝っているのに、余裕そうな木手に丸井は風船ガムを膨らませながら睨んでいました。
「おや?」
切符を買ったあと、携帯を見て調べていた木手が何か気付いた様子です。