「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第1章 プロローグ
「精市はこれを食え」
幸村の前にいた柳蓮二が野菜と副菜を多めに盛り付けました。
「多過ぎじゃないか?」
柳の盛り付け量の多さに顔がこわばる幸村です。
「と、お前は言うが、これぐらい許容範囲だ。お前の盛り方では栄養バランスが偏る」
幸村と柳の後ろで丸井はケーキを数個取っていました。
「日に日にここのシェフは、新作のケーキを増やしてるな。今日はじゃあ、反対側の列にある新作ケーキにするだろい」
丸井は、他の中学生の邪魔にならないように反対側へ回り、目的のものをトングで取ろうとします。
そのとき、別のところからやって来た木手とぶつかってしまい、丸井はトングを落としそうになりました。木手は瞬時にトングをキャッチし、丸井に返そうと差し出します。
「危なかったですねぇ」
「サンキュー、キテレツ。持っていた皿の食い物も落とさないで済んだよ」
「まったく、気をつけなさい」
「こっちのセリフだろい」
と、ムスッとした丸井が木手からトングを受け取るとき、何と木手の指に触れてしまいました。心揺らいだ丸井は、おっとっとと再びトングやケーキの乗ったお皿を落としそうになります。