「新テニ」理想のペア、Exciting situation
第1章 プロローグ
「えっ!」
「!」
丸井と木手はぶつかったあとその場に倒れました。丸井が仰向けで木手がその上を覆っているような状態になります。
「ってて…」
「頭、打ってませんね」
木手は丸井と倒れる瞬時に、片腕を丸井の頭の下にやってかばっていたようです。
「オレは平気だけど、キテレツ、腕が…」
「大したことはありません。重りの入った大きなリストバンドを練習に付けていたので、クッションになったようです」
「そっか。それならいいけど。ところでいつまでオレの上に乗ってるんだ。動けねえんだけど…」
表情苦しそうにしていた丸井でした。
「…すみません」
気まずそうに木手はすぐにどき、転がっていたボールを拾っていました。
「……」
丸井はゆっくり立ち上がり、木手を見つめます。汗くさくなかったかなと、いつもより自分の汗のニオイを気にし始めていました。丸井は木手から離れ、別の場所でボール拾いをしていたのでした。
掃除を終えた中学生たちは夕食を食べにそれぞれ食堂に向かっていました。
「肉を食って英気を養うぞ」
「真田は肉が好きだね」
トングで肉料理を取っていた真田弦一郎に笑顔で言った幸村精市です。